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2024.02.27

業界コラム

スエズ運河ルートが使えない!物流混乱によるコンテナ不足とは

 いま、世界1/3の船便輸送コストが爆上がりしているとしたら・・・もちろん、いずれ私たちの回りにある製品価格にそのコストは反映され、価格が上昇します。それは、食品、飲料、石油、ガスなど多岐にわたるでしょうし、実はもう始まっています。

 では、何でそんなことになっているのでしょう。その疑問にこれからお答えしましょう。

スエズ運河の重要性

 ポイントは、紅海と地中海をつなぐスエズ運河の安全航行にあります。ヨーロッパ(地中海)とインド、アジア間の貿易にとって、スエズ運河ルートは最重要ルートとなります。なぜなら、もしスエズ運河が通れないなら、アフリカの喜望峰を回って行き来するしか方法がないからです。

 しかし、その懸念は現実となってしまいました。イエメンの反政府勢力フーシ派が紅海を航行する商船に対して攻撃を行い、「イスラエルがガザの兄弟達に対する攻撃を止めるまでイスラエル船が紅海を航行するのを阻止し続ける」とのメッセージを出したのです。

 イスラエル船、と言っていますが、米国船も、イギリス船舶も、日本郵船の船も攻撃されています。いわば「米国寄り国家」の船舶が攻撃対象です。

 簡単に言ってしまえば、「イスラエルがガザへの攻撃をやめなければ、オレたちは紅海航行の船舶に攻撃を続けるぞ。そうすれば、アフリカ喜望峰回りで欧州に行くしかなくなるから、時間もコストも大幅にかかって困るだろう?イスラエルは自分たちの行動が世界中に迷惑をかけていると自覚してガザへの攻撃をやめろ。国際社会はイスラエルにガザへの攻撃をやめさせろ。」ということです。

 さらに、なぜそもそもガザの味方をするのか。それは、イスラエルは米国との同盟関係にあり、フーシ派は(おそらく高い確率で)反米勢力であるイランから武器などの供給を受けているからです。イランは関与していないといっていますが・・・。

 イスラエルとフーシ派の関係は米国とイランの代理戦争のような関係です。さらに、パレスチナ人の土地にユダヤ人がイスラエルを建国し、パレスチナ人が追われた歴史、イスラム教とキリスト教の感情的な対立も根底にあると思われます。

 フーシ派は名前だけ聞くと小さな組織に感じますが、実質イエメンの首都サナア(サヌア)を掌握し、2重政府のようになっています。支

 配地域には紅海沿岸部も含まれます。そこに中東の大国、イランが武器供与などで後押しをしていると考えられ、実力もあります。アメリカ、イギリスはフーシ派のミサイル発射拠点を攻撃した、と報道発表していますが、ミサイル発射台の多くは移動式であり、その効果は疑問です。

 米国が深く干渉を続ければ、泥沼の紛争にもなりかねませんから、米国も慎重で、中東情勢の専門家曰く「解決の見通しは全く立たない」のが現状です。

紅海ルートから喜望峰ルートに変わる影響

 このような理由で、この問題はすぐに解決しそうにありません。現実的にインド・アジア方面とヨーロッパとの貿易は紅海から喜望峰ルートに変わっています。紅海を行き来する船舶はフーシ派攻撃以前と比較して71%減少しています。(米国物流調査会社:プロジェクト44調べ)

 紅海ルートから喜望峰ルートに変わると、航海日数はざっと片道で約2週間、往復4週間増えます。それに伴い、輸送燃料費も人件費もアップします。以下のグラフは40フィートのコンテナ1個あたりの運賃推移ですが、軍事衝突が始まった2023年11月より以前と比較して運賃は2.8倍に上昇しました。

 運賃ばかりではありません、世界の船舶輸送の1/3が航行していた紅海ルートが、喜望峰ルートに振り返られ、その航行すべてにおいて往復4週間、航海の期間が伸びるということは、それだけコンテナを占有する期間も伸び、ひいては世界規模でのコンテナ不足に陥るという問題が発生します。

 コロナの時期に起こったコンテナの流通停滞による「コンテナ不足」が再燃しそうです。

リーファーコンテナをドライで使用する「アズドライ」で対応

 このいつまで続くかわからないコンテナ不足問題には、コロナ期と同じく、リーファー(温度管理)コンテナをドライコンテナの代わりとして使用する「リーファーアズドライ」で対応することになるでしょう。

 日本には外国から食料品をはじめとする、温度管理が必要な品物が多く到着します。逆に、日本から輸出するものの多くはそこまでの温度管理は求められませんから、リーファーコンテナが残ります。

 このリーファーコンテナを使用することでコンテナ不足問題は解決しますが、リーファーコンテナは荷物の固縛にツールが必要です。以下にそれをご紹介しましょう。

リーファーコンテナ用固定金具「リーファーロック」「リーファーロック®ST16」

 リーファーコンテナは断面が「T」になったレールが並ぶ特殊な形状をしています。側壁には凹凸やラッシングレールがなく、天井もフラットなためドライコンテナのようにシュアリング(木組みによる固定)が困難です。

 そこで、このリーファーロックを使えば荷物を簡単に固定でき、シュアリングも不要になります。

 ST16はさらに固定力を強化した金具です。固定力は1個あたり3.2トン(実測値)、第三者検定機関の検討報告書もあります。

長期間の海上輸送に有効。乾燥剤「パワーソーブCE」「カーゴパワーソーブライト」

 海上輸送が長期化するならば、湿気対策も必要になります。乾燥剤パワーソーブCEは、塩化カルシウムを主原料とする業務用乾燥剤で、ポリマーを保水剤に用た環境に優しい乾燥剤です。

 シリカゲルやクレイなど、従来の乾燥剤と比較して広い湿度帯域で5~7倍の吸収力があります。主成分の塩化カルシウムは食品添加物にも指定される安全な物質です。カーゴパワーソーブライトは、パワーソーブの外箱をなくし、低コスト化した製品です。使用時のごみ削減にもつながります。

商品紹介

リーファーロック

1.5トン/個の強力な固定力(1箱20個入り)
バンニング作業時間の軽減
ラッシング作業の簡素化
固定資材費の削減

リーファーロック®ST16

3.2トン/個の強力な固定力(1箱16個入り)
ツインボトルで固定力アップ
危険品を輸送する際に最適

パワーソーブCE/カーゴパワーソーブライト

シリカ、クレイの5~7倍以上の吸湿性能
保水剤にポリマー使用で環境に優しく安全
吸湿力が強く経済的
吸湿状態がゼリー化の感触でわかる
優れた持続性、即効性
腐食性、結露のおそれがない

まとめ

 アフリカ大陸の最南端を回る喜望峰ルートは、荒天の海として知られています。ポルトガル国王ジョアン2世が「喜望峰」と名づける前は「嵐の岬」と呼ばれていました。

 南緯40度から50度の海域は「吠える40度」呼ばれ、遮る陸地のない強風が常に吹いています。アフリカ南端沖で沈没した船は少なくとも2,000隻を超え、今も世界屈指の海の難所です。

 GPSや衛星による高精度な気象情報、自動船位保持システムが存在する今でこそ、航行の安全性は高まりましたが、世界中の船舶がそんな海域の航行を余儀なくされています。

 せめてわずかでも危険を遠避けるため、今回はリーファーコンテナの荷物固定にスポットを当てて製品紹介をしました。

 もりや産業には陸・海・空を問わず物流に関するノウハウ多くあります。お困りのことがありましたら、どのようなことでもぜひご相談ください。蓄積した知見でベストな解決策をお応えします。