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2022.12.20

業界コラム

モーダルシフトから考えるドライバー不足と2024年問題

2024年問題のポイント

過去記事と重複しますが、簡単に2024年問題を確認しておきましょう。2024年問題とは、「働き方改革関連法」の「自動車運転業務」に関する時間外労働が年間960時間以内に規制されることで生じるいろいろな問題です。

2024年4月から施行され、平均化すると月80時間、日12.46時間以上働くことができなくなり、違反した場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。平均化は目安で、あくまで年960時間以内なら大丈夫です。また、60時間/月を超える残業代は50%増になります。

「運べない距離」が出てきてしまう

仮に、日常的に長距離輸送を行う事業所があるとします。日常業務のため平均で考えますが、荷待ち、積み込み、荷下ろしも含めて一日あたり12.46時間以上は業務に従事することができなくなります。

荷待ち、積み込み、荷下ろしに合計4時間かかれば、残りは休憩時間も含めて8.46時間。数回の休憩で合計2時間とすれば…あれ?運べない距離が出てきてしまわないでしょうか。

長距離輸送のドライバーは途中で交代できませんし、シフト日程を組んで月労働時間を抑えようとしても、そもそもドライバー不足です。そのため、必然的に人的コストも上昇します。企業利益は圧迫され、企業体力が乏しくドライバーの確保ができなかった事業所は存続の危機にもつながります。

また、荷物が送れない、届かないということはそれに付随するすべての業務が影響を受けます。仮定の「日常的に長距離輸送を行う事業所」なんてよくありますし、その事業所の取引先まで含めると影響範囲は広いものになるでしょう。

このように、2024年問題は長距離輸送における重大な支障や危惧をはらんでいます。
ではこの問題をどう解決するか。あります!その解決法。

労働時間問題を解決しながら環境負荷低減もでき、場合によってはコストダウンも可能な一石二鳥、いや、一石三鳥ともなる方法が、長距離輸送の一部を船舶・鉄道に置き換える「モーダルシフト」です。
それでは、これからモーダルシフトについて説明しましょう。

鉄道・船舶に置き換え可能なら、大きなメリットも

2024年問題におけるモーダルシフトのポイントは「鉄道・船舶での長距離輸送中は労働時間にカウントされない」ということです。ドライバーは鉄道・船舶の発送拠点まで荷を運び、到着拠点では別のドライバーが荷を受け取ります。

長距離輸送区間を鉄道・船舶にゆだねることで、その間の労働時間が不要になります。さらに、鉄道なら1回につき最大26両=10トントラック65台分を一気に運べますから、トラック複数台での大量輸送をモーダルシフトに置き換えた場合、かけ算で労働時間が不要になります。(JR貨物Webサイトより:https://www.jrfreight.co.jp/modalshift.htmlリンク付き)

コスト面で見た場合、モーダルシフトは長距離ほどメリットが大きく、トラック輸送との分岐点は500kmがひとつの目安になりそうです。モーダル拠点までの距離や1回の積載量など、各社の事情はまちまちですがモーダル拠点までの距離が近く、1回積載量が多い、または積めるだけの場合は400㎞でもコストメリットが生まれる場合もあります。2024年問題を回避しながらコストメリットが生まれるなんて最高ですね。

環境への負荷低減効果では、モーダルシフトに大きなメリットがあります。CO2排出量で比較すると、トラック輸送に比べて船舶輸送は1/6、鉄道輸送は1/10の排出量となります。サステナブルへの対応が注目される中、モーダルシフトへの取り組みは企業イメージの向上につながります。

また、長距離輸送に携わる人なら、「降雪」「大事故」などのワードにギクッとすることでしょう。トラック輸送は影響を受ける要因が多くありますが、鉄道や船舶輸送では比較的少なくなります。到着遅延のリスクを減らすことはもちろん、大規模災害時の別ルート保有というBCP(事業継続計画)という点でも、モーダルシフトを持つことは有効です。

モーダルシフトのデメリット

モーダルシフトには、もちろんデメリットもあります。まずは、輸送時間が長くなる点です。基本的に鉄道も船舶も夜間にノンストップで走りますが、それでもトラック輸送より時間はおおむね長くなります。運行・航行時間が決まっていて融通がきかない点もデメリットでしょう。

次に、短・中距離輸送の小量配送ではコストメリットが出ない点です。モーダルシフトのコストメリットは、長距離をコンテナ一杯に積むことで生まれます。

また、鉄道も船舶も「コンテナ」単位になります。そのため、コンテナ内貨物の荷崩れ対策など、これまでコンテナ輸送に携わってこなかったため、そのノウハウがわからないという不安を覚えるかもしれませんが、そこは大丈夫。コンテナ内貨物の荷崩れ防止に役立つグッズやコンテナの積載効率を上げるのに便利な機械などをご紹介します。

コンテナ内貨物の荷崩れ対策 

・コンテナ結束材Mシリーズ

コンテナ内の積載物固定は、海上輸送においてシュアリングと呼ばれる木材による固定が一般的でした。コンテナ側面の凹凸に合わせて木材梁を入れることで固定するのですが、微妙な加減がむずかしく、職人技になります。

他にもクッションボードをはさんだり、揺れに対応するためラップで荷物とパレットを一緒に巻くなどの手間がありますが、コンテナ結束材「Mシリーズ」を使用することでそのすべてを解消することができます。

Gベルトはあらかじめコンテナに対応した形状でしっかりと荷物を固定します。専用荷締め機、リーファーコンテナ使用時のリーファーロックを使用することで、経験のない人でも、ひとりで確実なコンテナでの荷崩れ防止固定が行えます。

・荷崩れ防止資材シリーズ

コンテナへのバンニング・デバンニングも、トラックへの積み込み、取り出しと共通する部分が多くあります。

例えば、フォークリフトを使用したパレットでの積み込みで効率化が図れますが、両面にすべり止め加工を施した「クラフト両面NSシート」や荷崩れ防止ベルトである「エコバンド」「グリーンベルト」「フレキシブルクロス」を使用することで、傾斜時の荷崩れ防止やストレッチフィルムを巻く手間とゴミの削減を大幅に減らすことができます。

コンテナの積載効率アップ

・カスタム段ボール箱製造機

「段ボール箱製造機」はオンデマンドで自由な形状のダンボール箱を高速で製造できる装置です。

コンテナはすべてサイズがきっちりと決まっていますから、オリジナルの箱を作り、隙間なく詰め込むことでモーダルシフト輸送のコストメリットを最大限に活かすことが可能です。定期的に多量の輸送をされるメーカー様などで、大きなメリットが得られます。

まとめ

「働き方改革関連法」は日本国内のすべての事業所が遵守すべき罰則付き法律です。ドライバーの数に人材不足という上限があり、これまで長時間労働によって賄われていた方法がもう許されないということは、対策を打たない限り必ずどこかの事業所で破綻が生じます。

この問題を国交省は把握していますが、それでも法を施行するということは「あななたちは変わりなさい」というメッセージです。

2024年4月の法律施行まで、残された時間はそう多くありません。ここに紹介した以外にも鉄道や船舶輸送についてご質問があれば、もりや産業にご相談ください。モーダルシフトは高いハードルもありますが、メリットもあります。いっしょに乗り越えましょう。