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2025.09.22

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シザーリフトとは?小型・移動式・100V型・埋め込み型|メーカーも紹介

重い荷物を持ち上げたり、高さのある作業を効率よくこなすために欠かせないのが「シザーリフト」です。パンタグラフ構造によってテーブルを水平に昇降させられるこの装置は、工場や倉庫、建築現場など幅広い現場で活躍しています。

一見シンプルな仕組みながら、省スペース性と昇降能力を兼ね備え、小型タイプから高所作業向けの大型タイプまで多彩なバリエーションがあります。油圧式や電動式、手動式など動力方式も複数存在し、用途や設置環境に応じた選択が可能です。

本記事では、シザーリフトの構造や仕組み、安全対策から具体的な活用シーンまでを解説し、導入を検討する際に役立つ情報をまとめています。

シザーリフトとは?

シザーリフトは、パンタアームと呼ばれるX字型のアームで上部の台を支え、荷物を水平のまま昇降させる装置です。アームがハサミのように開閉することから「シザー(英語でハサミの意)」という名が付きました。

なお「シザーリフト」は株式会社メイキコウの商標で、同じ構造の装置は「テーブルリフト」や「リフトテーブル」とも呼ばれています。

シザーリフトの構造

シザーリフトのパンタグラフ型アームは、折りたたむと非常にコンパクトになり、場所をとりません。収納時は低く収まり、使用時は高く伸びるため、省スペース性と長いストロークを両立できます。

さらにアーム自体の容積が小さいため、2段・3段と積み重ねて高い位置までテーブルを上げることも可能です。

シザーリフトの動かし方

シザーリフトの動力には油圧シリンダーや電動モーターがあり、小さなものはハンドルを手動で回しテーブルを動かします。

● 油圧シリンダー式
ポンプからシリンダーに作動油を送り、高圧でテーブルを持ち上げます。作動油を抜けば圧力が下がり、荷重で下降します。重量物の昇降に適していますが、時間が経つと沈み込みが起きるため、テーブルを固定するロック機構が欠かせません。

● 電動モーター
モーターでボールネジを回し、テーブルを支えているナットの位置を上下させて操作します。モーター内のブレーキがボールネジをロックするため、テーブルを長時間上げた状態でも沈み込みが発生しません。

● 手動式
小サイズのシザーリフトでは、人力でハンドルやレバーを回してアームを動かし、テーブルを昇降させます。電源が無くても使用可能なほか、高さの微調整が容易です。

シザーリフトの使いみち

シザーリフトは高さを自在に変えられるため、重い荷物を扱いやすい位置に調整できます。現場では次のような場面で利用されています。

● 動く作業台
長時間業務で作業者の楽な姿勢がとれるように、体格に合わせて高さを調節すれば疲労の少ない労働環境を作れます。例えば、荷物の積み込みや積み下ろしでは作業者の手の高さに荷物を上げて、かがむ動きや持ち上げる力を減らし、身体の負担を軽減可能です。

● 高所作業の足場
大型タイプは、倉庫で高い棚の荷物を扱うときや、壁面上部の機械を点検するときの足場になります。

● 荷物積み下ろし時の昇降移動の補助
テーブルをトラックの荷台まで上げると、荷物を持ち上げる負担が減ります。大型機種では台車ごと昇降でき、運搬効率が向上します。

シザーリフトの注意点

シザーリフトは省スペースで収納でき、サイズや仕様にもさまざまなバリエーションがあります。これらを選んで使用する際に注意しておく点は以下のようになります。

● 荷物は積載可能な重量範囲内で
シザーリフトが持ち上げられる限界を超えた重量の荷物を乗せてはいけません。重すぎる負荷がかかったリフトが損壊する恐れがあり、事故につながるリスクが考えられます。

● テーブルサイズとストローク範囲
ストローク範囲とはシザーリフトのアームが動いて、テーブルが上下に移動可能な幅の意味です。シザーリフトのテーブルは荷物が均等に配置されている状態を想定して作られています。そのため、テーブルからはみ出るような大きさの荷物の昇降では、転倒や落下の危険があります。

● 設置環境
設置環境に適したシザーリフトを使用しないと十分な性能を発揮できません。例えば油圧式シザーリフトでは、温度変化の激しい場所では油圧シリンダー内の作動油の圧力に影響があるでしょう。

また、工場と家庭用では電源の規格が違い、使用電圧が200Vと100Vの機器には互換性がありません

● エレベーターとして使用は不可
シザーリフトはエレベーターとして使用できません。「建築基準法」と「労働安全衛生法」で規制されており、違反すると罰則の対象になります。

つまり、エレベーターは上記の定義の両方を満たしている機器を指します。シザーリフトには基本的にガイドレールが無く、労働安全衛生法の条件を満たしていません。

シザーリフトの安全対策

重量物を扱うシザーリフトは、誤操作すれば大きな事故につながります。そのため、物理的な安全装置と制御システムの両面から対策が施されています。

物理的安全装置

シザーリフトを物理的に覆う、または支える方法で作動中の機械に挟まれる事故を防ぎます。

● セーフティバー
テーブル下部に接触感知センサーを取り付けたバーを設置し、下降時に作業者の身体が触れると動きを停止する機能です。埋め込み式のシザーリフトでは、テーブルと埋め込み枠に作業者が足を挟み込まれるリスクがあり、これらの事故防止に効果的です。

● ジャバラカバー
基部からテーブルまでシザーリフトの側面を蛇腹状の可動カバーで覆い、パンタアーム部分に作業者の手足が挟まれる事故を防ぎます。また、リフトの可動部分に障害物が侵入する事態も防止できます。

● メンテナンス用ストッパー
シザーリフトのアーム部分のメンテナンス時にテーブルが落下しないように、安全な位置で固定する器具です。テーブルとアームの角度を固定したり、つっかえ棒のように支えたり、といったさまざまな方式があります。

制御システムによる安全装置

シザーリフトの誤操作や故障から起こる危険な動作を防ぎます。機械の異常な動作や、正しい手順から外れた操作をセンサーが検知すると、自動的に機能を停止させる制御システムが導入されています。

● 過負荷防止装置
過大な重量物を載せた時にアームやテーブルへ過剰な負荷がかかると自動的に動作を停止させる装置です。電動モーターや油圧シリンダーの破損や荷崩れを防止します。

● 非常停止スイッチ
作業者がシザーリフトの操作中に何かの異常を発見した場合に、すぐ機械を停止させる基本的な機能です。

● 異常検知と自動停止機能
油圧シリンダーや電動モーターの状態を制御システムで常時監視させ、異常を検知した際には自動的に動きを止めるように設定します。内部のモニタリング機能は危険の早期発見に効果的です。

● ロック機能
ロック機能は人為的な操作ミスを防ぐための安全装置です。例えば、他の安全装置がONになっていないと操作ができない、または複数の作業員が安全確認するため二重ロックの解除が必要、といった方法です。

小型シザーリフト|特徴・メーカー紹介

小型シザーリフトの特徴は比較的小さなサイズです。乗せる荷物が小さいので、操作は主に手動でハンドルを回す、または足踏みによる油圧ポンプで行います。

また「小型シザーリフト」というカテゴリはあまり一般的ではなく、多くの汎用シザーリフトが小型モデルで対応しているのが実態です。

汎用シザーリフト ハイパーシリーズ

「汎用シザーリフト ハイパーシリーズ」は株式会社メイキコウが作っているシザーリフトのベースモデルです。1,600種類を超える数多くのバリエーションがあり、小型サイズにも対応しています。ただし業務用の機材なので、小さなモデルでも100㎏前後の本体重量があります。

ハイパーの最も小さいモデルの許容積載質量は400㎏です。その中でもテーブル寸法が1mを超えないモデルを紹介します。

移動式シザーリフト|特徴・メーカー紹介

シザーリフトの中には、複数の作業場所へ持ち運びが可能なように移動機能を持たせているタイプがあります。軽量で折り畳み可能な自動車に積み込めるサイズや、下部にキャスターを取り付けて手押しで移動できるタイプなど仕様は様々です。

移動式段差解消用シザーリフト 段差らく~だ

移動式段差解消用シザーリフト「段差らく~だ」はメイキコウ社が製造する、超低床構造の移動式昇降装置です。500㎏の積載質量があり、荷物を載せた台車や車椅子に人を乗せたまま、段差のある場所の移動を可能にします。

また、建物内で動力を使い人や物を別の階へ移動させる装置はエレベーターの用途ですが、段差らく~だは車輪のある移動式のためエレベーターに該当しません。電源は単相100Vを使用し一般家庭でも利用できます。

100Vシザーリフト|特徴・メーカー紹介

一般的に電動シザーリフトは工場内などの「3相200V」といった大型電源を想定した設計で作られており、100Vの家庭用コンセントでは使用できません。しかしカスタマイズで100V電源に対応できる場合や、最初から100V用に作られている機器もあります。

電動式汎用シザーリフト エンデバーシリーズ

「電動シザーリフト エンデバーシリーズ」は株式会社メイキコウが作っている電動式シザーリフトです。高い静音性とテーブルの自然効果をゼロにした機能が特徴です。
積載量200㎏仕様モデルは電源を3相200Vから単相100Vに対応が可能ですが、積載量は180㎏に下がります。

エンデバーの200㎏仕様モデルの性能は以下のとおりです。

埋め込み型シザーリフト|特徴・メーカー紹介

埋め込み型のシザーリフトは自動車や建機など重量物の昇降に使用されます。大型のテーブルを床下に収納できるので、設置しても作業スペースを圧迫しないメリットがあります。この埋め込み穴をピットと呼び、設置にはピット工事が必要です。

段差解消機レベール 段差らく~だ(AHタイプ) 床埋め込みタイプ

段差昇降機「段差らく~だ」には、埋め込み設置型のAHタイプがあり、主に車椅子で高低差のある建物へ出入りするのに利用されています。
乗降方式は直進とL字の両方に対応し、操作スイッチの位置も左右どちらにも設置可能です。操作スイッチに対して高い側の乗降口が右にあればRタイプ、左にあればLタイプです。

段差らく~だ AHタイプの仕様には以下の違いがあります。

シザーリフトに関するFAQ

シザーリフトを使用する時によくある質問をまとめました。

100Vと200Vシザーリフトはどう選ぶか

100Vと200Vは使用電源の違いです。

● 100V:一般家庭用電源
● 200V:工場などの大型電源

この2つには互換性がなく、一般家庭で200Vシザーリフトを使っても動きません。逆に100Vのシザーリフトを大型電源で使用すると破損のリスクがあります。

屋外でもシザーリフトは使えるか

屋外の電源がない場所でも使用可能なバッテリー搭載タイプや、足踏みポンプによる手動操作タイプがあります。また、雨やホコリの多い、または温度変化の大きい環境で使用するには防水・防塵処理や温度変化に対策した機材を使いましょう。

安全に使うための注意点はあるか

シザーリフトの事故で多いのはパンタアームの挟み込みです。稼働中のアームに挟まれたり、下がってきたテーブルにぶつかったりする危険があるので、使用中にテーブル下へ入り込むのは避けましょう。安全対策にジャバラカバーを取り付ける方法もあります。

購入とレンタル、どちらが得か

シザーリフトの多くは工場などに設置して使う業務用モデルなので購入するには百万円以上の費用が必要です。一方で持ち運びが可能な、台車に載った小型のシザーリフトは数万円ほどの予算で購入できます。

また、キャスター付きの移動可能なシザーリフトはレンタルも可能です。数日から1ヶ月ほどの期間で購入よりも安価で使用できます。

一時的にシザーリフトを使いたいのならレンタルが得かもしれません。

そもそもシザーリフトは自作できるのか

工場で使用するような大型シザーリフトは、専用の設計と高品質な部品で構成されており、技術や予算の面から考えると個人が自作するのは困難でしょう。また、個人でシザーリフトを作るにはパンタアームの材質や強度に加え、強力な動力を再現するのは難しいらしく、自作の情報も見つかりません。

シザーリフトはいくつもメーカーからさまざまなモデルが製造されているので、自作に拘らず購入するのが早道でしょう。

まとめ

シザーリフトは、荷物を水平に保ったまま昇降できる装置で、工場や倉庫、建築現場などで幅広く活用されています。X字型のパンタグラフ構造により、省スペースながら高い昇降能力を発揮する点が特長です。

小型・移動式・100V対応・埋め込み型など、多様なタイプがあり、用途や設置環境に応じて選ぶことが重要です。メーカーごとに強みやサポート体制、安全性能も異なるため、導入前に比較検討すると安心でしょう。

使用時は積載重量やテーブルサイズなどの注意点を守り、物理的安全装置や制御システムを活用することで、作業者の安全と作業効率を両立できます。

シザーリフトは単なる昇降装置ではなく、作業負担の軽減や効率向上に貢献する現場の頼れる機材です。本記事を参考に、自社の作業環境に合った機種を選んでみてください。