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2025.01.09

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UN規格とは? わかってそうで実はわかりにくい、危険物輸送のアレ。

 UN規格と聞いて、すぐに「わかりますよ」と答えられる人は、きっと、国際的な危険物輸送に関わる人でしょう。そう、UN規格は危険物を国際輸送するときに使われる規格で、いわば世界間の危険物輸送共通ルールです。

 ある国で危険物として扱われているものが、他の国では危険物とは認められず、適当な輸送・梱包方法で送られて事故が起きたとしたら、輸入国はたまったものではありません。UN規格は「ユナイテッド ネイションズ」、つまり国際連合規格です。

 国連は、まずは危険物とは何かを「危険物輸送に関する勧告」、通称「オレンジブック」を制定し、結果、危険物の取扱いに関する統一的ガイドラインが各国でできました。世界のほとんど、193ヶ国が加盟する国連で危険物の統一ルールを決めた意味は大きいと言えます。さすが「主たる活動目的は、国際平和と安全の維持」の国連です。

 それでは、UN規格の内容について次項から解説しましょう。

どのようなモノが「危険物」として該当するのか・・・?

 国際輸送における「危険物」とは、輸送中に人、財産、または環境に対してリスクをもたらす可能性のある物品や物質を指します。これらは国際基準に基づき分類されており、具体的には以下のようなものが該当します。

危険物の分類

1.爆発物

火薬、爆竹、花火など

2.可燃性ガス

プロパン、ブタン、スプレー缶など

3.引火性液体

ガソリン、アルコール、ペイントなど

4.引火性固体、自然発火物質、および水と接触して可燃性ガスを発生する物質

マッチ、硫黄、ナトリウムなど

5.酸化性物質および有機過酸化物

漂白剤、硝酸アンモニウムなど

6.毒物および感染性物質

農薬、ウイルスサンプルなど

7.放射性物質

放射性同位元素を含む医療用品や研究用物質

8.腐食性物質

酸、アルカリ、バッテリー液など

9.その他の危険物

環境に有害な物質やリチウム電池など

注意点

各クラスにはさらに細かい分類があり、具体的な基準は国際海事機関(IMO)、国際民間航空機関(ICAO)などによって定められています。
輸送方法(海上、航空、陸上)によって適用される規制が異なる場合があります。
危険物に該当するかどうかを判断する際は、製品の安全データシート(SDS)を確認することが推奨されます。

 今回はもう少し掘り下げて解説してみます。まず、UN規格が定める危険物はいくつあるでしょう?オレンジブックの危険物リストに掲載されている危険物は約3,000ほどあり、それぞれに「国連番号」が割り振られています。
危険物リストに掲載されていない危険物については、後から「国連番号」を割り振ります。

 「国連番号」ごとに包装の仕方が決まっています。たとえば、国連番号0005は、「砲用完成弾(さく薬付)」です。危ないなんてものじゃない・・・
興味のあるかたはこちらにリンクを貼っておきますのでご覧ください。

 国連番号(UN NO.)の一覧表 https://www.un-no-un-number.com/
さて、そのように国連番号が付与された危険物には、「どのような容器を使用すること」などといった輸送ルールが決められ、その容器には決まった形式の表記がされています。こちらがその表記例になります。

 UNマークと、アルファベット、アラビア数字だけで、国や言葉が違っても言語を介さずに詳細な情報が読み取れるようになっています。

危険物を輸送する際の運送時の対応方法

国際輸送時に危険物を取り扱う場合、適切な準備と遵守が必要です。以下に、輸送時の対応について詳しく説明します。

1.梱包

危険物の梱包は、物質の性質や輸送方法(海上、航空、陸上)に応じた基準を満たす必要があります。

規格梱包(Performance Packaging)
国際連合(UN)の基準を満たした梱包材が必要です。これには、梱包の耐久性を示すUNマークが付いています。

内装・外装の準備
危険物が漏れないよう、密閉性の高い内装材を使用し、それを耐久性のある外装で覆います。

クッション材の使用
衝撃や振動から中身を保護するために、適切なクッション材を使用します。

2.表示・ラベル

輸送中に危険物であることを明確にするための表示が義務付けられています。

危険物ラベル
該当するクラスの危険物ラベルをパッケージに貼付します(例:引火性液体なら赤い炎のラベル)。

UNナンバー
危険物を識別するための4桁のUNナンバーを明記します。

処理指示ラベル
取り扱い注意や上積み厳禁などの指示ラベルを使用します。

3.書類の準備

輸送に必要な書類を正確に準備します。

危険物申告書(Dangerous Goods Declaration, DGD)
危険物の内容、数量、梱包方法などを記載した公式書類です。

輸送書類(通関書類を含む)
貨物のインボイス、パッキングリスト、SDS(安全データシート)などを揃えます。

輸送モードごとの追加書類
航空輸送ではIATA規則、海上輸送ではIMDGコードに基づく書類が必要です。

4.取り扱い業者の選定

危険物を取り扱うには、規則に精通した業者を選ぶことが重要です。

危険物輸送資格を持つ業者
輸送業者は、国際規則に基づく危険物の取り扱い資格を有している必要があります。

専用の輸送ルート
危険物専用のルートや施設(倉庫、コンテナ)を利用する場合があります。

5.法規の遵守

輸送する国や地域によって適用される法規を確認します。

IATA DGR(航空輸送)
国際航空運送協会(IATA)の危険物規則。

IMDGコード(海上輸送)
国際海事機関(IMO)が定めた危険物輸送規則。

ADR(陸上輸送、欧州)
欧州における危険物の道路輸送規則。

各国の輸出入規制
国ごとに異なる輸入制限や許可書が必要な場合があります。

6.安全教育

危険物を取り扱うすべての関係者に対して、適切な教育・訓練が義務付けられています。

定期的なトレーニング
従業員は危険物輸送規則に基づくトレーニングを受け、更新します。

緊急時対応計画
事故や漏洩が発生した場合に備えた対応手順を共有しておきます。

7.緊急時の備え

輸送中の事故に備えて、対応策を整備しておく必要があります。

緊急連絡先の明示
輸送中の緊急連絡先(運送会社、荷主)をラベルや書類に記載します。

漏洩防止装置の準備
万が一の場合に備え、吸収材や防護用具を持参することが推奨されます。

注意点

危険物規則に違反すると、貨物が輸送中止となるだけでなく、罰則が課される可能性があります。
規則は定期的に更新されるため、最新の情報を確認することが重要です。
もし具体的なケースや輸送する物品に関しての質問があれば、さらに詳しくサポートいたします!

UN規格とKHK規格のちがい

 危険物輸送の規格として、UN規格の他にKHK規格があります。どちらも危険物輸送の時に使われる規格ですが、いちばん大きな違いは、KHK規格の許認可範囲が国内における陸上輸送に限られる点に対し、UN規格は国内・国際間どちらでも使用可能でき、船舶、航空、陸送のいずれにも使用できる点です。

 また、KHK規格に合格した容器は、国内の危険物輸送(陸送)に使用できますが、UN規格に合格した容器は、国内でも国際間でも使用することができ、陸送以外にも船舶、航空機での輸送が行えます。逆にKHK規格のみの容器を危険品国際間輸送に使用することはできません。つまり、UN規格の使用範囲はKHK規格の範囲を抱合していると言えます。

 日本でのUN規格認証は(一財)日本舶用品検定協会が行っていますが、国際間の取り決めなので、UN認証機関は世界各国にあります。危険物を海外から輸入した場合、容器に付されているUNマークは、おおむね海外の認証機関が認定したものです。日本国内で流通しているUN容器は国内・海外の認定品が入り交じっています。

 一方、KHK規格は日本国内だけの規格で、認証機関は危険物保安技術協会ただひとつとなります。よって、流通しているKHKマークはすべて危険物保安技術協会が認証したものになります。

UNマークと一連の番号・記号だけで大丈夫?

 では、危険物を国際輸送する際には、適合容器にUNマークと一連の番号・記号を記載しておけばOKでしょうか。答えはNOで、実はそのほかにも「危険物ラベル」の表記と危険物申告書が必要になります。

 この写真はもりや産業が発売している危険物輸送用のダンボール箱、通称4Gカートンですが、赤マルで囲んだ場所は何かが貼れそうですよね。そうです、ここに危険物に応じた危険物ラベルを貼らなければなりません。

 危険物ラベルはいろんな種類があるのですが、ここにはその代表的なものを掲載しておきましょう。直感的に、ひと目見て危なそうなデザインは、どの国においても伝わりやすそうに思います。このあたり、さすが国際規格としてちゃんとデザインされているなぁ、と思います。

もりや産業の危険物用ダンボール箱が便利!

 UN規格の危険物には、それぞれに定められた容器があると書きましたが、約3,000ある危険物ひとつずつに特化した容器3,000種類が存在するわけではありません。性質の似通った危険物には、共通のUN規格適合容器があります。

 なかでも、使用頻度の高い危険物用ダンボール箱は国連コードが4Gであるため「4Gカートン」と呼ばれます。危険物の国際輸送にはこのUN規格適合試験に合格したダンボール箱しか使えませんのでご注意ください。もりや産業の4Gカートンはもちろん、すべての性能試験に合格したもので、5種類のサイズからお選びいただけます。

 通常のダンボール箱と比較して、かなり強度が高く、耐水性があり、必要な表記があらかじめされています。また、UNダンボール箱は以下3つの等級に分類されますが、もりや産業のUNダンボール箱はその全てに対応しています。

商品紹介

危険物輸送梱包箱

国連規格容器の性能試験合格品
軽量で高強度、高耐久性
リサイクル可能な環境対応製品

まとめ

 海外に危険物送るときのアレでしょ?といった印象の UN規格。今回の記事で少し掘り下げて解説してみましたが、いかがでしたでしょうか。国際性が必要とされる理由や、危険物ラベル表示の必要性について、みなさまにお伝えできたなら嬉しく思います。

 わたしたちの手に届く最終製品は安全・安心なものであっても、その製造工程などで使われる薬品やガスなど、どうしても危険物が必要になるケースは無数に存在します。だからこそ、しっかりと危険性を把握して、ルールに則った輸送で豊かな未来づくりに参加したいと思います。

 UNダンボール箱による輸送について、わかりにくい点などありましたらどのようなことでも、もりや産業にご連絡ください。私たちの知識がお役に立てば幸いです。