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2025.12.09
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工場や物流センターなど、広く高い天井を持つ作業空間や倉庫では、冷暖房だけでは空気のムラや温度の層化(天井付近が暑く、床付近が寒い)といった課題が生じがちです。
こうした問題を解決する手段として、天井に取り付けて大風量で空気を循環させる シーリングファン は、空気管理・環境改善・省エネの観点から非常に有効です。
特に、直径数メートル級の羽根を持ち、ゆっくり回転しながら大量の空気を動かす 大型 HVLS(High Volume Low Speed)ファン は、広大な工場・倉庫のような空間でこそ真価を発揮します。
本記事では、B2B向けの産業用途にフォーカスし、「小型/大型」の概念を交えつつ、選び方・導入方法・活用効果を徹底解説します。
シーリングファンにはさまざまなサイズ・スペックがありますが、大きく分けると「小型タイプ」と「大型タイプ(HVLS)」に分類されます。
それぞれの特徴や適した設置環境、運用目的が異なるため、施設の構造や用途に応じて適切に使い分けることが大切です。
以下の表に、小型ファンと大型HVLSファンの主な違いを整理しました。
| 小型ファン(直径2〜3m) | 大型ファン(HVLS・直径4m以上) | |
| 主な用途 | 部分エリア(仕分け・事務所など) | 工場・倉庫全体の空気循環 |
| カバー範囲 | 約50〜150㎡程度 | 約500〜2,000㎡以上 |
| 風の特性 | 局所送風、やや強め | ゆるやかな大風量・広域循環 |
| 導入コスト | 比較的低コスト | 設置工事含め中〜高コスト |
| おすすめシーン | 低天井、作業員密集ゾーン | 高天井、大空間、倉庫の中心部 |
大型ファン1台でカバーできる範囲は非常に広く、冷暖房の効率化に大きく貢献します。一方、小型ファンは「補助用」や「部分対策」に最適で、ハイブリッド運用(大型+小型併用)も現場ではよく見られる形です。

HVLS(High Volume Low Speed)ファンは、羽根直径が大きく(例えば7ft=約2.1m以上、さらに工場用途では数メートル級)ゆっくり回転します。
羽根が高速で風を切るのではなく、低速で大きな空気柱をゆったり作り、空気を循環させるのが特徴です。
この方式により、天井付近に滞留しやすい暖気を床に戻したり、夏は冷気とともに心地よい風を作り出すなど、空間全体の空気環境を整えることができます。
温度ムラの解消/層化(ストラティフィケーション)防止
高天井空間では、空気が自然に上下に分離し、冬は天井付近に暖気が滞留し、床近くは寒いまま。逆に夏は冷気が床に溜まり、作業空間がムラだらけになります。
HVLSファンを使えば、ゆるやかに大容量の空気を循環させることで、こうした温度の分離(ストラティフィケーション)を解消できます。
特に冬場は、ファンを逆回転させることで、天井付近に溜まった暖かい空気を床に戻し、暖房効率を大幅にアップ。空調の効きが均一になれば、作業員の体感温度も安定し、現場の「寒い・暑い」ストレスがグッと減ります。
省エネ・空調コスト削減
HVLSファンは単独でも効果がありますが、特に冷暖房との併用によって驚くほどの省エネ効果を発揮します。空気を強制的に動かすことで、空調機器の設定温度を±1〜2℃ずらしても快適性を維持可能に。これにより、冷暖房機の稼働時間や消費電力量を抑制できます。
たとえば、大型倉庫でHVLSファンを導入した企業では、年間の空調費を20〜30%削減した事例もあります。これは単なる節約ではなく、CO₂排出削減や脱炭素経営にもつながる重要なポイントです。
作業環境・安全性の向上
快適な空気環境は、作業の「質」に直結します。夏の熱気や湿度のこもり、冬の底冷えなどが解消されれば、作業員の集中力・モチベーション・判断力が自然と向上します。
さらに、空気が停滞すると熱中症リスクや倦怠感、ミスや事故の原因にもなりかねません。HVLSファンによる穏やかな風の流れは、直風ではないため書類が飛ばず、目にも優しく、現場にとって理想的な環境を作り出します。
設備保全・品質管理の強化
空気の循環が改善されると、機械や設備の動作にも良い影響が出ます。たとえば、湿気がこもらなければ精密機器の錆び・結露リスクが軽減。また、温度が均一になれば、原材料や製品の保管品質も安定します。
さらに、発熱機器の周囲に空気が滞留すると異常加熱のリスクもありますが、HVLSファンで空気を流すことで熱だまりを解消。結果的に、故障や異常停止といったリスクが低下し、メンテナンス頻度やコストの抑制にもつながります。

大型・高天井の工場、倉庫、物流センターでは、次のような条件や課題を抱えやすく、シーリングファンの導入効果が高まります。
こうした場合、産業用大型シーリングファン (HVLS) は非常に有効です。
さらに、倉庫や物流センター内で仕分けエリアや出荷スペースのように「人が働く狭めのゾーン」では、補助的に 中径〜小径のシーリングファン を併用するハイブリッド運用も有効です。
大型倉庫内(天井高10m以上)での空気循環により、冷暖房費を抑制。
物流センターの仕分けエリアで、作業員の居るゾーンに風の流れを確保し、熱ストレスを軽減。
機械稼働エリア(加工/組立ライン)で、機械発熱+作業員発熱を含めた効率的な空気移動。
冬季、暖気を床に戻す逆転運転活用による暖房負荷低減。

広い空間をカバーするためには、羽根直径が大きなモデルが必要です。HVLSファンでは直径数メートル~10m級のものもあります。
「小型」「大型」の表現では、例えば「小型」は直径2~3m程度、「大型」は直径4m以上、あるいはそれ以上という区分も考えられます。
空間の広さ(床面積)、天井高さ、作業エリアの形状などから、必要な直径・風量を逆算することが重要です。
天井の構造(梁・桁・支持金物)・強度を必ず確認。大型ファンは重量・回転時の振動が想定されるため、補強が必要なケースもあります。
天井高が高い場合、延長パイプ(ダウンロッド)が必要になることがあります。
傾斜天井・トラス構造・既設設備(照明・スプリンクラー)との干渉もチェック。
DC(直流)/BLDCモーターのモデルは静音・省エネ・細かい回転制御が可能で、産業用でも採用が増えています。
制御方式(リモコン、壁スイッチ、建物の自動管理システム(BMS)連携)も工場・倉庫運用では重要。
安全機構・防塵・防水仕様(湿度・粉塵の多い環境)で選ぶ必要があります。
単純な風速ではなく「カバー範囲(床面積)」「デストラティフィケーション(温度層化の解消)」「気流の質(均一に空気が動くか)」を評価。
工場・物流では「人が動くゾーン」「機械が稼働するゾーン」など、エリア別に風量要件が変わる場合があります。
保守頻度・部品交換・振動・騒音など運用上のランニングコストを考慮。
メンテナンスアクセス(羽根清掃、モーター点検)や振動バランス調整も見逃せません。
初期導入コストだけでなく、エネルギー削減効果・長寿命を加味したトータルコストで検討しましょう。
粉じんの多い倉庫環境で、従来の扇風機や空調服では暑さ対策が不十分だった現場にHVLSファンを導入。
粉じんを巻き上げずに空気をやさしく循環させることで、作業環境の大幅な改善につながりました。


天井の構造・強度を必ず確認。大型ファンは重量・振動の影響が大きく、安全性担保が必須です。
天井高・梁・トラス・設備(照明・スプリンクラー)との位置関係を設計段階で検討。羽根が設備に干渉しないかチェック。
傾斜天井・高天井・既設施設への後付け工事では、延長パイプ・補強金具・専門施工が必要となることが多い。
電気配線・制御盤・運転スイッチ・安全装置(振動センサー・ガード)等も事前確定。
工場・倉庫では「停止できない稼働時間」が長いケースが多いため、設置作業は計画的に行う必要があります。
定期的な羽根のバランス調整・ホコリ・粉塵の付着除去が必要。空気流が乱れると効率低下。
モーター・ベアリング・制御ユニットの点検。長時間稼働機器ゆえ信頼性が重要。
運転モード(例えば夏の「順回転」/冬の「逆回転」)を活用し、季節ごとの使い方を切り替える。
空気の流れが適切かどうか、定期的に現場で「風の落ち着き」「温度ムラ」「体感環境」の確認を。
設備導入による効果(省エネ・空気品質・作業環境)を数値で定期レビューし、運用改善に繋げるとベターです。
省エネ・空調ソリューション!
効率的な空気循環で換気を促進し、また、春夏秋冬オールシーズン工場や倉庫の空調を最適化できます。冷暖房コストの低減とともに空間の温度、湿度を均質に保ちます。


A. いいえ。家庭用モデルでは風量・カバー範囲・耐久性・安全規格・天井高対応等が十分でないことが多いため、産業用途では必ず「産業用仕様(HVLS/工場仕様)」モデルを選ぶべきです。
A. ありません。HVLSファンはゆっくりと大きな空気を循環させる構造のため、一般的な扇風機のような直風は発生しません。むしろ空気が動いている感覚を作ることで快適性が増します。
A. 導入コストは直径・仕様・設置条件によって大きく変わりますが、大型HVLSファンでは数百万円規模になるケースもあります。省エネ・空調運用改善による電力削減・作業効率向上等で、数年以内に回収できるモデルもあります。現場のデータを基に費用対効果をシミュレーションすることが大切です。
A. 空間の広さ・天井高・使用目的により異なりますが、例えば1台で数百㎡〜2,000㎡程度カバーできる大型モデルもあります。複数台設置より1台で効率よく回す方がコストも抑えられるケースが多いです。
A. はい。逆回転運転(羽根で上部に溜まった暖気を床に戻す)を使えば、暖房効率アップや暖気の滞留解消に効果的です。空調機器との併用運用が鍵になります。
工場・物流施設の空気環境は、単なる冷暖房だけでは改善しきれません。
HVLSシーリングファンを導入すれば、温度ムラの解消・省エネ・作業快適性の向上といった効果を一台で実現可能です。当社では、現地調査から最適モデルの選定、導入効果の試算まで一括でご提案できます。
「うちの倉庫にはどのタイプが合う?」とお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。