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2025.05.08

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コンテナのラッシングベルトが外れた…使い方解説!巻き方/直し方/緩め方

コンテナによる貨物の輸送作業では、「ラッシングベルト」を使用して荷物を確実に固定することが重要です。しかし現場では「ベルトが外れてしまった」「緩んで荷崩れした」といった声も少なくありません。正しい使い方を理解して、安全な輸送を実現しましょう。

この記事では、コンテナ専用ラッシングベルトの基本情報から使用方法、注意点に至るまでを詳しく解説します。

ラッシングベルトとは

「ラッシング(Lashing)」とは、ロープやベルトを使って貨物を固定し、輸送中の移動や転倒を防ぐ作業のこと。コンテナ輸送では、内部の壁面やラッシングレールなどにベルトを取り付け、貨物をしっかりと固定する必要があります。

ラッシングベルトは、ベルト本体・バックル・端末金具から構成されており、ベルト幅や金具形状のバリエーションが豊富です。特にコンテナ輸送では、ベルト長が長く、重荷に対応できる高強度のものが求められます。

コンテナでのラッシングベルトの使い方

ラッシングベルトは、貨物の荷崩れを防ぎ、安全に輸送するための必需品です。ここでは「ラチェット式」の使い方を中心に説明します。

ラッシングベルトの巻き方

コンテナ内の固定ポイントに接続する

コンテナ内部には、ラッシングレールやDリング、シャックル付きのフックなど、貨物固定用の金具が備え付けられていることが一般的です。ラッシングベルトの端末金具(フックやアイ型)を、これらの固定ポイントに確実に取り付けましょう。

接続する位置は、貨物の大きさ・重量・重心の位置を考慮して選定することが重要です。たとえば、重心が高い荷物では、上部からもしっかりベルトをかけて、横揺れを抑える必要があります。また、コンテナの壁に直接当たらないよう、荷物と壁面の隙間に緩衝材を入れることで、走行中の衝撃や滑りも防げます。

さらに、長尺物や段積みされたパレットなどの場合は、対角線状にベルトを交差させる“クロスラッシング”も効果的です。荷物が動く余地をなくし、揺れや傾きによる荷崩れを防ぎます。

ベルトをバックルに通してセットする

まず、巻取側のベルトの先端をバックル中央にある回転軸(シャフト)の穴に下側から通し、さらにそのまま上部のスリット(スロット)へ折り返すように差し込みます。

ベルトを差し込む際は、ねじれやヨレがないかを必ず確認してください。ねじれた状態で巻き始めると、後で巻き取りが不均一になり、荷物の固定力が低下するおそれがあります。

スムーズにスリットを通せない場合は、ベルト先端の折れや汚れが原因のこともあるため、形を整えてから挿入しましょう。しっかりと通せたら、ベルトがスリップしないか軽く引っ張って固定状態を確認し、次の巻き取り作業に進みます。

たるみを取り除いて巻き取り固定

ベルトをバックルに通したら、まず手でベルトを引っ張り、できる限りたるみを取り除きます。この工程を丁寧に行うことで、テンショナーでの巻き取り作業がスムーズになり、ベルトの緩みによる荷崩れのリスクも低減されます。

手で引くだけでは取りきれない微妙なたるみは、テンショナー使用することで、ベルトが徐々に締まっていきます。このとき、ベルトが貨物に対して均等に接触し、しっかりと固定されていることを目視で確認してください。

締めすぎには注意が必要です。過度にテンションをかけると、荷物の破損やベルトの変形、テンショナーの故障につながる恐れがあります。荷物が動かない程度の適度な張力で締め付けを止めるのが理想です。

余剰ベルトの処理

ラッシング作業完了後、コンテナ内で余ったベルト部分をそのまま放置すると、輸送中の振動で荷物に絡みついたり、コンテナの開扉時に外へ飛び出して作業者に接触するなど、思わぬ事故やトラブルの原因になる恐れがあります。

そのため、余剰ベルトは必ずきれいに巻き取った上で、しっかりと固定するようにしましょう。束ねたベルトは、以下のいずれかの方法で処理するのがおすすめです。

・荷物の上にまとめて置き、滑り止め付きのテープや結束バンドで固定する

・コンテナ側面のレールやフックに、ねじれないよう整えて結束する

・ベルトホルダー(専用クリップ)を使って側壁に留める

また、ベルトが長く余っている場合は、外部へ垂れ下がったり他のベルトと絡まることのないよう十分に注意してください。船積みやフォークリフト作業中に巻き込み事故が発生するリスクもあるため、現場では特に意識しておきたいポイントです。

輸送中の安全性を高めるためにも、「余ったベルトはすぐに処理する」という運用ルールを現場全体で徹底することが大切です。

荷物の固定方法

コンテナ内でのラッシングでは、荷物の重さ・形状・重心位置をよく見て、ベルトの配置・本数・方向を適切に設計することが重要です。
段ボールやパレット積みなどは、対角・上下からベルトを交差させて締める「クロスラッシング」が効果的です。角部にはコーナーパッドなどの緩衝材を使用して、ベルトの摩耗も防ぎましょう。

使用環境に合った素材選び

ラッシングベルトに使用される素材は主に3種類あり、それぞれ特性や適した用途が異なります。

ポリエステル

ポリエステルは、ラッシングベルトで最も広く使用されている素材の一つです。高い引張強度と耐摩耗性を備えており、重い貨物や鋭角のある荷物に対しても優れた耐久性を発揮します。素材自体がしっかりとしているため、伸びが少なく安定した固定力が得られるのも大きな特長です。

また、水分を吸収しにくく、濡れても速やかに乾燥する性質があるため、湿度の高い港湾エリアや雨天時の作業でも安心して使用できます。さらに、紫外線への耐性も高く、長時間屋外に晒されるコンテナ輸送や海上輸送にも適しています。

耐薬品性もある程度備えているため、化学品を取り扱う現場や、温度・湿度差が激しい過酷な環境下でも安定した性能を維持できます。コストと性能のバランスが良いため、コンテナ輸送用のラッシングベルトとしては、最も汎用性の高い選択肢といえるでしょう。

ナイロン

ナイロンは、伸縮性と柔軟性に優れた素材で、急な衝撃や振動を吸収しやすいという特長があります。荷物にかかる瞬間的な負荷を和らげる効果があるため、精密機器や割れ物など、衝撃に弱い貨物の固定に適しています。

また、吸水性があり、ある程度の湿気にも対応可能な点もメリットですが、ポリエステルと比べると水を吸うと重くなり乾きにくいため、長時間濡れた状態での使用や保管は避けるべきです。

最大の注意点は、紫外線に対して非常に弱いことです。直射日光に長時間さらされると、表面が劣化し、強度が著しく低下する恐れがあります。そのため、屋内使用や短時間の屋外作業向けとされ、長期間にわたるコンテナ輸送や屋外保管には不向きです。

また、ベルトに柔軟性がある反面、振動の影響を受けやすく、緩みが生じやすい傾向もあります。しっかりと締め付けたつもりでも、輸送中に緩んでしまうケースがあるため、締結後の確認作業や、途中での点検が重要です。

用途を選べば非常に便利な素材ですが、過酷な環境や長期輸送には慎重な判断が必要です。

ポリプロピレン

ポリプロピレンは、軽量で加工しやすく、比較的安価で入手可能な樹脂素材です。そのため、コストを抑えたい場面や使い捨て用途、短期間の固定作業に適しており、家庭用や軽作業向けのラッシングベルトに多く使用されています。

素材の特性としては、耐水性と耐薬品性に優れており、水濡れや薬品の飛散がある現場でも使用可能です。湿気やカビにも強いため、簡易的な倉庫内保管や室内作業、軽量物の搬送などに向いています。

一方で、引張強度・耐摩耗性・耐熱性は他の素材(ポリエステルやナイロン)に比べて劣るため、重い荷物の固定や繰り返し使用には不向きです。また、紫外線にも弱く、屋外で長時間使用すると劣化が進みやすいという欠点もあります。

加えて、柔軟性がやや乏しいため、ベルトが折れ曲がったり、ねじれた状態で使用されると早期に損傷する可能性がある点にも注意が必要です。

軽量な荷物を一時的に固定する、または補助的に使用する用途としては優秀ですが、重要な貨物固定やコンテナ輸送の主力には適さない素材といえるでしょう。

コンテナラッシングベルトの強度・荷重値

コンテナ用のラッシングベルトは、特に高強度な設計が求められます。以下の指標を確認しましょう。

最大使用荷重(LC)

ラッシングベルトを使用して安全に貨物を固定できる、最大の重量を示します。一般的には、積載する荷物の重量の2〜5倍程度が目安とされています。

破断荷重(BL)

ラッシングベルトを引っ張ったときに、実際に破断(切断)される基準値です。あくまで限界値であり、使用中にこの数値に近づけることは危険です。

引張強度

ベルトの素材を引っ張った際に、どれだけの力に耐えられるかを示す数値です。ベルトの材質そのものの耐久性を把握する際に重要な指標となります。

ラッシングベルトの直し方(巻きすぎた場合の対処)

手繰り寄せながら丁寧に戻す

無理な力をかけず、ベルトがねじれないように少しずつ手で戻していきます。

かみ合わせやバックルの爪を確認

構造に不備がないか、金具の変形がないか確認してください。

損傷の有無をチェックし、必要なら交換

コンテナ輸送では再使用がリスクになるため、損傷が見られた場合はすぐに新品へ。

使用時の注意点(コンテナ向け)

ラッシングベルトの巻きすぎ注意

ベルトの締めすぎは、貨物破損やベルト損傷の原因になります。適切な張力で固定を。

日常点検の実施

ラッシングベルトが傷んだ状態で使用を続けると、輸送中に切れてしまい、荷崩れを引き起こす危険があります。こうしたトラブルを防ぐためには、日頃の点検が欠かせません。

点検では、切り傷・縫い糸のほつれ・毛羽立ち・熱や薬品による変色などがないかを確認し、該当する場合は新しいベルトに交換しましょう。

また、月に1回程度の定期点検も行いましょう。定期点検では、金具部分のサビやベルトの製造年月日を確認し、耐久性や安全性に不安がある場合は早めの交換が求められます。

適切な保管方法

ラッシングベルトを長く安全に使用するには、保管環境にも配慮することが大切です。湿気の多い場所や濡れたままの状態で放置すると、カビや腐食が発生し、ベルトが劣化する原因になります。

保管する際は、直射日光や高温多湿を避け、他の薬品や工具とは分けて、個別に保管するようにしましょう。

適切な方法で取り付ける

ラッシングベルトを取り付ける際は、ねじれや締めすぎに注意が必要です。ベルトがねじれた状態では、固定力が不安定になり、損傷の原因にもなります。

また過剰に締め付けると、器具の破損につながる可能性があります。逆に緩んだ状態で使用すると、輸送中に荷物が崩れる恐れがあるため、取り付けた後は張り具合を確認してからラッシングを行いましょう。

劣化したベルトは交換する

劣化したベルトを使用し続けることは、非常に危険です。固定中に切れたり、輸送中に荷崩れが発生したりする原因となります。定期点検や日常点検でサビや変色、破損が見つかった場合は、速やかに新しいベルトと交換しましょう。

特にベルトに切れ目・織りの緩みがある場合は、少しの力でも簡単に破断するため、早急に交換する必要があります。

商品紹介

コンテナ専用ラッシングベルト G-ベルト

G-ベルトは、作業性・安定感に優れたコンテナ貨物専用ラッシングベルトです。
ショアリング(木材などを使った荷物の固定)すること無く、簡単に貨物をコンテナ内に固定することができるため、作業性がアップします。
更にコンテナを開けた際の荷崩れも防ぐので、製品やスタッフを守ります。

まとめ

コンテナ輸送におけるラッシングベルトは、貨物の安全輸送に不可欠なアイテムです。
固定不良・劣化・過信・誤使用がトラブルを招く原因となるため、正しい使い方と管理方法を理解し、日々の点検と交換を徹底しましょう。

安定した輸送環境を整えることで、荷崩れによる損失や作業者の安全リスクも軽減されます。適切な製品選定と運用により、安全・安心なコンテナ輸送を実現してください。